2012/05/12

横断歩道と運命と帰路。



歩行者信号の青が点滅していた。

諦めようと思ったが、またあの数秒を待つのかと思うと面倒になり
もう青の点滅が赤になりそうな横断歩道を全速力で走った。

走り始めた私より先に歩いていた人達は、たいして焦っていなかった。
車より私たち歩行者が優先よ、と言わんばかりに。

だから、私はそこまで全速力で走る必要はなかったが、
あいつギリギリで渡るぐらいなら諦めて待ってろよ、なんて舌打ちされるのは嫌だった。

その私の反対側から、まったく同じタイミングで全速力の男性がやって来て
同じ速度ですれ違った。

その瞬間だけ、スローに感じるぐらい、なぜか同じタイミングで。
きっと私と同じことを思って、敢えて青点滅の中全速力で走ったのだ。

信号が赤に変わる頃、私たちが走り渡り終えた横断歩道には
信号が赤になることなんておかまい無しに歩く人が数名いた。

息切れした呼吸を整えながら私は思った。

あの男性が走った理由なんて分かるわけがない。
多分私と同じことは考えていないだろう。
こんな横断歩道ですれ違う人にまで自分を重ねていたら歩き辛い。

そう思った。

振り返り、小さく消えていく彼を見て、また前を向いた。
流石に、こんな小さなことで運命は感じない。















そんな今日の帰路 空を見上げる。

夕暮れ時 頭上の電線さえ なんだか良い。
空を染める陽は あまりにも奇麗。

そんな中立ち寄った 大淀川河川敷
どうしても 立ち止まって見たかった。

今日一日を照らしてくれた あったかな陽は
また明日ね と 静かに奇麗に落ちていった。

陽が落ちてしまった空には 大好きな飛行機の足跡。

不思議と 良い日には必ず この足跡を見る。
だから 何かのおまじないみたいで ちょっと嬉しい。

大好きなものを 独り占めしたくなることがあるけど
それでも今日は 誰かに見せたいと思った。

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