2015/11/03

雨の日の本屋と切ない何かと優しい何か。

とっても久し振りのtavola di male


相変わらず美味しくて 大好きなお店


サプライズで相方のお姉さんから シェラトンの宿泊予約プレゼント









きっとプレゼントされなかったら 行くことすらなかったかもしれない
旅行すら行ったことの無い私たち夫婦にとって 嬉し過ぎる贈り物だった


可愛い僕から ハッピーハロウィン


ゾンビが出るよって言ったら 本当に怖がってた
かずくん いつもありがとう








雨の日の本屋 彼を待っていた。
タイトルと帯が気になり気付けば時間を忘れてページを捲っていた。

ページを捲る指が27ページをさしたところで聞き慣れた着信音が鳴る。
私の携帯だ。
待ち受け画面には着信設定していた彼とのツーショット写真が表示されていた。
前に撮ったその写真がとても昔のものに感じた。
三十路も過ぎるとこうも老化が早いものかと複雑な気持ちになった。

途中だった本に栞代わりの親指を挟みひとまず閉じた。
「今から向かう」電話を切り本屋を後にすることとした。
私の踏み出す足に反応した出口の自動ドアが開き終わる前に私は引き返した。

先程途中まで読んでいた本を再び手に取りレジに並ぶ。
「いらっしゃいませ ありがとうございます」
あまりにも明る過ぎる店員のお兄さんのその声に少し戸惑った。
立ち読みしていた本の中に入り込み過ぎて少し感傷的になっていた私とは明らかに温度差があり違和感を感じた。
まぁお兄さんは業務をこなしているだけだし私が持って行った本の内容なんて考えているわけでもないし当たり前のことだった。
それでもなんとなくその温度差が気持ち悪かった。
「1512円になります」
私は1万円札と12円をトレーに出した。
500円玉貯金をしたいが故の先読みだ。
「8500円のお返しになります」
計画通り500円玉のお釣りがきた。
きっとお兄さんは私が500円玉貯金の為に頭を回したことなんて気付いてないだろう。
一日に何十人も何百人もこなしている人にそんなことを考える余裕なんてないだろう。

今度こそ本屋を後にするべく自動ドアを出た。
雨は上がっていたが外は空気が冷たく 本屋のお兄さんよりも冷たいはずの私よりずっとずっと冷たく感じた。

目の前の信号がタイミングよく青に変わり 駆け足で白黒の横縞を渡る。
履いていた黒のオールスターが横縞の白いところにくると
毎日履いているはずのその靴が 何だか少し小さく どこか格好悪く見えた。
アスファルトに残る雨水が跳ねて歩く邪魔をしたが そのまま急ぎ足を止めなかった。
忘れてはいけない 私は人を待たせているのだから。

待ち合わせ場所のファーストフード店に着き ハンバーガーを食べながら たわいも無い会話をした。
前の出来事 今日の出来事 次の約束 あの子の今とこれからと
とにかくたわいもない会話。

さっきまで感傷的になっていた私が感じていた何かは何処へ行ったのだろう。

まぁ今日一日私にはこれと言って劇的な出来事なんてひとつもなかったわけだし
特別頭を悩ます何かがあったわけでもない。

ひとしきり喋って家路に着く。
帰宅後テーブルの上に置いた本屋の袋の中には数時間前まで読んでいた本が入っていた。
「これ読んでたんだったな」
なんか一気に引き戻されてしまった感じがした。

フィクションな世界のものでも それがその辺によくある他人事でも
何かに重ね感情移入し過ぎる自分の癖を 時に息苦しく思うこともある。
けれどそれが私なのだから それはそれで仕方がない。
そんなことずっと昔から知っていたわけだし それとずっと付き合ってきた。
それが相当面倒くさい短所であり 時に 一緒に寄り添えるという面を持ち合わせた長所でもある。
そう思わないと付き合いきらない。
だからそう思って好きになる努力をしている。

切ない気持ちの根っこには 優しい何かがあるに違いない。
もちろん根拠はない 誰かが言ってたわけでもないし本当のところは知らない。

でも"冷たく切ない何か"には"あったかい優しい何か"が隠れているって
なんとなく そう思えて仕方が無い。